PCL86真空管アンプの製作PCL86シングルステレオアンプの製作PCL86という真空管を使用したシングルステレオアンプです。PCL86は3極管と5極管の複合管ですが、回路はTU-897Sと違った特徴があり、5極管(出力間)部分のスクリーングリッドとプレートを直結した三極管結合にしています。それと、出力管のプレートから1Mオームの抵抗を介してグリッドに戻すP-G帰還と出力トランスからコンデンサを介し出力管のカソードに接続しています。TU-897Sに見られるオーバーオール帰還は施されていません。 PCL86と三極管結合の特性についてはPCL86とはどんな球というサイトに述べられています。 実はこのアンプ、パーツや回路は春日無線変圧器で販売しているパーツセット、PCL86シングルステレオアンプと同じものです。違うところは3D用にトランジスタアンプ(IC:TA7252AP)を積んでいることです。 シャーシ(ケース)は別に用意するつもりでしたので、お店の人に頼んで、シャーシ無しでパーツ(真空管、トランスなど)を売ってもらいました。 先ずシャーシの選定ですが、ラックやディスクの上に置いても、あまり邪魔にならないよう、フロントパネルが小さめのものを選びました。その代わり、奥行きは長くなりましたが... 選んだシャーシはタカチのMB13(標準価格¥1200)です。デザインも良いものにしたいと考えていましたし、また適当に穴を明けてからでは、やり直しがききませんので、CADでシャーシの加工図を作成することにしました。部品のレイアウトを事前に検討できるので便利ですョ! 1.回路図 2.シャーシの設計 私のお気に入りのCADは、JW_CADです。DOS時代から既に建築業界などで広く親しまれているCADソフトです。フリーソフトの定番でシェアも高く、既に多くの人が愛用しています。 3.シャーシの加工 JW_CADデータを原寸でプリントし、それをシャーシに貼り付けます。 その後、貼り付けた紙の上から、穴あけを行います。私はミニスクリュードライバ(ホームセンタで特価¥980)を使いましたが、薄いアルミ板(1.5mm程度)の穴あけでしたら、これで十分に使えました。 紙に示された寸法線を目指し、そのままスクリュードライバで空けましたが、ドリルの先端が滑るので、センターポンチを打っておいたほうが無難だと思います。 その他、シャーシパンチ、リーマー、ヤスリなども使いました! 4.部品の取り付け 5.半田付け ラグ端子の位置や真空管のソケットと向きを考えながら、部品同士の距離が離れ過ぎたり、窮屈にならないようにレイアウトを決めます。 ラグ端子への配線は結構苦労しましたので、配線する前に、実体配線図を作ったほうが良いと思います。 6.真空管の装着、完成した姿 7.試聴 アンプの試聴です。スピーカはFOSTEXのカンバス(スピーカユニットはFE83E)です。3Dウーファ無し 最初にヤシャ・ハイフェッツのツィゴイネルワイゼン(LP)を再生してみました。テンポの速いバイオリンの演奏が耳に刺さるようです。とても1951年の録音(擬似ステレオ)とは思えませんでした。この音にはちょっとびっくりです。 次にブラザーズフォーのLPです。低音部のコーラスの雰囲気がいいですね~しばらく聞き入ってしましました! もう一枚、尾崎 豊のCDですが、エレキギターやピアノの音の立ち上がりがリアルです。15の夜など、尾崎の熱唱も充分に伝わってきました。 8.周波数特性 今回製作したアンプの周波数特性と歪み特性を測定しました。参考までに20WのTr(IC)アンプの周波数特性と比較します。Tr(IC)アンプの低音はブーストされているにもかかわらず、聴感では、PCL86真空管アンプのほうが低音がたっぷりとしていますし(但し、ちょっと低音の締まりがないかな~)、そして、高音域も艶やかに聴こえます。このアンプ、私が聴いた限り、TU-879と比べても遜色ない音です。 歪特性 矩形波(10kHz) 9.PCL86真空管アンプ関係リンク集 (有)春日無線変圧器 PCL86シングルアンプキットの提供元です。 http://www.e-kasuga.net/ アンサンブルクラルテさん 春日無線PCL86シングルアンプの製作記事 組み立て配線、完成までの工程が丁寧に描かれています。 http://www.clarte.tv/pcl86single.html 7L1WQGさんのページ 小型真空管ステレオアンプの製作(PCL-86 シングルアンプ)記事です。 部品はプリント基板にきれいに実装してました。 http://www.7l1wqg.com/7l1wqg/jisaku/pcl86/pcl86.html ゆるゆるな日々HP PCL86アンプの他にも300Bなどの真空管アンプを製作されてます。 http://www.satoyama-net.com/blog/archives/2006/04/pcl.html このブログのPCL86アンプ関連日記 PCL86アンプの改造(トランスの向き変更 真空管アンプコンテスト2008 真空管アンプコンテスト一次審査通過 真空管アンプ聴き比べ 真空管アンプの改造 自作アンプの歪み測定 PCL86真空管アンプの完成 ラグ端子を使った半田付け 部品の取り付け シャーシ加工図 (2) シャーシ加工図 10.改造(改良)(2009/1/3) 電源トランスの向きを変更し、ハムノイズを低減できました。その他フィルタコンデンサの容量アップ(33μ→47μ)を施しました。(2007/11/17) 改良後の歪特性です。 11.改造(2009/6/12) UL(擬似ウルトラリニア接続)と三結(三極管接続)を切り替えられられるようにしました。UL接続としたことで、歪み特性や周波数特性は、ほぼ、そのままで最大パワーが1.6Wまで改善しました。音もUL接続のほうがメリハリがあります。 関連日記 三結とUL接続(その2) HOMEへ戻る |